エリンジウム
登場人物
桜:さくら。親友(女の子)が好き。
椿基:つばき。親友(男の子)が好き。
エリンジウムの花言葉 「秘めた愛」「秘密の恋」
【本編】
0:椿基の部屋を訪れる桜。
桜:お邪魔します。
椿基:いらっしゃい。あ、つまみ買ってきてくれた?
桜:適当に。あと食材買ってきたから台所貸して。
椿基:いいけど、何、わざわざ料理すんの?
桜:どうせ長くなるでしょう?そしたらつまみも色々欲しいじゃん。
椿基:まぁな。
桜:だったら、出来合い買うより作っちゃった方が安上がりでしょ?
椿基:あぁ……確かにな。それに出来立てとか絶対美味いやつだし。
桜:そうそう。
椿基:あー……俺、桜の卵焼き食べたい。
桜:言うと思った。あるよ、ちゃんと材料買ってきた。
椿基:それと――
桜:豚キムチ炒め、唐揚げ、それとポテトサラダ。
椿基:よくわかってらっしゃる。
桜:おう、何年の付き合いだと思ってんのよ。
椿基:さすが、桜さま!
桜:そんで、酒の方は?
椿基:ん?ビール、カクテル、梅酒、ワイン……まぁ色々揃えておいた。
桜:……メインは?
椿基:こちらでございます!
桜:花陽浴(はなあび)じゃん!嘘、よく手に入ったね!
椿基:取引先の人に貰った。
桜:うわー、めちゃくちゃ楽しみ。
椿基:桜、飲んでみたいって言ってたからちゃんと飲まずにとっておきました。
桜:ありがとう!……つまみどうしよう。
椿基:クセが少ない魚介とかいいってさ。
桜:あ、ちょうどタコ買ってあったわ。
椿基:いいね、軽くワサビのっけてそれでいくか。
桜:あぁもう我慢できん……。さっさと作って飲もう。
椿基:あ、ごめん。俺もう先に始めてた。
桜:は?
椿基:これ、すでに3本目。
桜:ずるっ!それくらい待っててよ!
椿基:飲みたい気分だったんだよ。
桜:……あっそ。とりあえず、レモンサワー缶頂戴。
椿基:へいへい、ほら。じゃ、カンパーイ!
桜:かんぱい!
:
0:料理をしながら飲む桜とソファーに座りながらぼんやりとする椿基
0:ここから飲みながらの会話ですので、自由に飲んだりつまみつまんだりしてください。
桜:ペース早くない?
椿基:そうか?
桜:ほれ、これをお食べ。
椿基:お、豚キムチ…
桜:胃にちゃんとモノ入れておかないと、後に残るよ?
椿基:う~ん……でもまぁ明日は桜も一緒だろ?
桜:そうだけどさ。
椿基:……今日さ、営業二課の坂本さんに呼び出されてさ。
桜:あぁ、あの美人さん?すごい綺麗な人だよね。
椿基:桜と付き合ってるんですか、って聞かれた
桜:……それで?
椿基:ご想像にお任せしますって言っておいた。
桜:あんたねぇ……
椿基:お付き合いしてますって言った方がよかった?
桜:……いや、仕事やりづらくなるからいい。
椿基:だろ?かといって否定するのも違うし、だからご想像にお任せした方がいいんだって。
桜:そんなもんかね。はい、卵焼き。
椿基:そんなもんです。お、うまそう。
桜:大根おろしいる?
椿基:欲しい。
桜:じゃあおろして。
椿基:俺が?
桜:文句言わないの、料理してないんだから。
椿基:はいはい。お、辛味大根じゃん。
桜:安かったから。
椿基:ところで、例の先輩はどうなったんだよ。
桜:あぁ。
椿基:彼氏がいても関係ない、僕は君が好きだ!って告白されたんだろ?
桜:なんで知ってるの。
椿基:先週の昼休みに来たんだよ、あいつ。
桜:は?
椿基:君に桜さんは似合わない!僕がもらい受けるからなって。
桜:何その安いドラマみたいな展開。
椿基:俺もさすがに面白くてさ、受けて立ちますよって煽っちゃった。
桜:何やってんだか。
椿基:桜、ほい。あーん。
桜:あーん……うん、上出来。
椿基:次何飲む?
桜:う~ん、レモンサワー、他にないの?
椿基:新商品あるよ、コンビニの奴。
桜:あ、もしかしてあれ?
椿基:甘酸っぱい、ちょっと酸っぱい、ほろにが、どれがいい?
桜:ほろにが
椿基:ほい。どうぞ。
桜:ありがとう。……あ、これ美味しい。
椿基:ほーん、俺も飲んでみよう。
桜:あ!だったら、ちょっと酸っぱいか甘酸っぱい空けてよ。半分こしよ。
椿基:確かに。じゃあ……甘酸っぱいにするか。
椿基:……へぇ、甘いけどそこまで甘くなくてうまいな。
桜:椿基、ちょうだい。
椿基:ほい。
桜:……これもいいね。
椿基:淡い恋の味ってやつ?先輩が桜に抱いている思い!なんちゃって。
桜:やめてよ、週末どこか行かないかってしつこくて困ってるんだから。
椿基:一回くらい行ってやればいいじゃん。
桜:あんた、それ本気で言ってる?
椿基:ごめんごめん、悪かったって。あ、唐揚げ。
桜:食べる?
椿基:食べる。熱っ!
桜:急いで食べるから。
椿基:うん、うまい。
桜:まだあるから、ゆっくり食べな。欲しかったらレモンもあるから。
椿基:桜って本当に料理上手だよな。
桜:胃袋掴むために頑張ったか。
椿基:お菓子作り?
桜:お菓子もご飯もあらゆる分野を極めたさ。
椿基:これ食べたいって言ったらすぐ出てくるもんな。
桜:ありがたく食べたまえ!
椿基:……なぁ、桜。
桜:何?
椿基:瑞希が来週の土曜遊園地行こうだってさ。
桜:雛と四人で?
椿基:そう。なんか期間限定のイベントあるから雛ちゃんが行きたがってるんだって。
桜:雛、そのイベント好きだからなぁ。
椿基:ダブルデートしようって。
桜:そっか。
椿基:……。
桜:……。
桜:たこぶつ食べる?
椿基:じゃあ、日本酒開けるか。
桜:料理もだいぶできたし、そっち行く。
椿基:そんじゃあ、運ぶの手伝うよ。
:
0:二人でリビングに座る
椿基:ほい、どうぞ。
桜:おっと……ありがとう。
椿基:それじゃあ改めまして
桜:乾杯……ん、美味しい……
椿基:……嫌なら断るよ?遊園地。
桜:行くよ。最近仕事忙しかったし、気分転換になる。
椿基:……なるのか?気分転換に。
桜:あんたこそ、どうなの?
椿基:まぁ……。でも断りたくもないかな。
桜:そっか。お互い馬鹿だよね、わざわざ傷えぐりに行くんだから。
椿基:でもさ、俺らがこういう関係だから実現できることだしさ。
桜:チャンスなんてないのに?
椿基:それでも幸せな顔見られたら幸せだよ。
桜:あんたって本当に……。
椿基:本当に、何だよ。
桜:……何でもない。というか私も相当だし。
椿基:桜。
桜:なに?
椿基:料理がうまくて、器量がよくて、包容力があって、ちょっとやんちゃっぽい笑顔が可愛い。
桜:何それ。
椿基:桜のいいところ。
桜:……行動力があって、人にやさしくて、明るくて元気で、みんなを引っ張る力があってカッコいい。
椿基:どうも。
桜:こんなにいい男なのにね。
椿基:こんなにいい女なのにな。
桜:……キス、してみる?
椿基:それならそのまま最後までしてみる?
桜:……。
椿基:……。
桜:ありえないね。
椿基:だな。
桜:というか、前にそうやって試しにキスしてダメだったじゃん。
椿基:いけると思ったんだけどなぁ~、桜相手なら。
桜:飲み会の罰ゲームレベルのキスならできるけど、本格的なのは無理。
椿基:だな。そもそも女を恋愛対象に見れねぇもん。
桜:私だって、男をそんな風な目で見たことないし想像しただけでぞわっとする。
椿基:あ~、わかる~。いくら美人だの可愛いだの言われる人でも対象外だっつーの。
桜:いい加減、言い寄ってこないでほしいわ。
椿基:……こうやって話せる奴がいるだけましなのかな。
桜:わかんない。でも想いは届かないんだから結局切ないよ。
椿基:それでもあいつの傍にいられるのが幸せなんだよな。
桜:わかる……あの子の笑顔見られればそれでいいって思っちゃうんだよね。
:
椿基:桜、今日泊まっていくだろ?
桜:そのつもり。
椿基:そんじゃ、映画でも見ようぜ。
桜:「エリンジウムの花束を君に」が見たいな
椿基:了解。
桜:ねぇ。
椿基:ん?
桜:土曜日、楽しみだね。
椿基:おう、そうだな。
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